公共建築
COMMUNITY BUILDING
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小林古径邸復原 小林古径画室(アトリエ)復元

新潟県上越市
近代日本画壇の巨匠・小林古径の住まいであり、建築家・吉田五十八の初期の作品を古径の生誕の地へ移築復元しました。日本の伝統的文化の近代化と新たな芸術表現を生み出した両者の原点がまさしくこの住宅に沈静されています。
日本画家・小林古径(1883~1957年)の住まいは、昭和9(1934)年に東京都大田区大森南馬込に建てられた、吉田五十八(1894~1974年)設計による初期の作品です。築後60年を経て、平成5(1993)年に解体され、古径の生誕の地である新潟県上越市内にある高田公園内に移築復元しました。
この住まいの史的価値は、単なる日本画家の住まいであったということだけでなく、晩年に見られる五十八の近代数寄屋と呼ばれる吉田流の到達点を確立する途上におけるさまざまな試みが随所に見られるところにある。五十八の数寄屋様式の学習期に位置づけられる古径邸は、五十八の数寄屋の師として知られる岡村仁三(1884~1972年)の施工による。五十八の初期の作品の多くは岡村によるもので、伝統様式と五十八の新しい様式を模索する過程が解体された部材から確認されています。
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古径邸の特徴は、晩年に見られる五十八の究極的に洗練された緊張感のようなシャープな印象とは異なり、骨太で素朴な佇まいの中に伝統的な技術の枠内ですっきりとした表現を心掛けていること。明朗性を追求し、無駄を省き、鴨居をできるだけ薄くする手法。その技術を確立するためにボルト貫を併用した鴨居の面中仕事は、当時の最新の技術として名高い。

今回の復原事業では昭和49(1974)年に惜しくも解体され、古径邸に隣接していたアトリエ(画室)も昭和13(1938)年当時の写真資料と図面をもとに復元しました。この画室は茅葺き屋根の農家を改造したものであり、その設計も五十八によるものである。

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25畳の画室の大きな特徴は雨戸、ガラス戸、障子のすべてを引き込んで開放できること。障子は左右両摺上となっており、日本画の制作に微妙な影響を与える自然光を自由に調光できる仕組みになっています。
また、古径邸は原型に復する「復原」、アトリエは元の姿に復する「復元」とし、日本有数の豪雪地帯である上越市に移築するにあたり、原形を損なうことがないように積雪対策を施した。
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