このたび建築士会による海外研修「イギリス・フランスの名建築に触れる旅」に参加し3度目のヨーロッパですが、皆さんと共に7日間旅をし、建築・芸術を実際自分の目で見ることが出来、学ぶものがあり感謝であります。
イギリスの研修では、快晴に恵まれて早朝よりロンドン市内散策をしました。
伝統ある街なみの歴史、文化、風景、生活スタイル、時代の変化を見てまわり、美しい街の環境・歴史的文化の継承に感動を受けました。
都心では、近代建築 30セント・メリー・アクスは高さ180Mと超高層ビルで、全面曲面ガラスで覆われて、美しい宝石のような仕上げです。ロンドン市内に違和感なく時代のシンボルタワーとして存在している。これも建築かと圧倒されました。
フランスでも快晴となり、パリ市内の世界遺産をかけまわり、パリにいるんだ!という満悦感にひたりました。なかでも、「20世紀代表住居建築」として取り上げられた、ル・コルビジェ建築作品 ヴィラ・サヴォワ邸(別荘)を見学できたことです。
芝生の中にポツリと高床式で、白く飾りもなくシンプルで四角い工場のような建物。住宅建築とは想像も付かない外観でしたが、近づくと1階ピロティは車の入ってくる弧をもつ通路を柱の内側に設け、ガレージを住居ブロックと一体化し、らせん階段、傾斜通路で2階と結ぶ。
2階は居住空間で各所テラスを設け、明るく開放的な間取りとし、屋上へも傾斜通路を設け、自由な空間、庭園とつながっていました。外部からは想像できない内部空間です。
内部はどの場所に立っても絵になる空間、公園の中で生活しているような居心地。喜びが伝わり、今でも暮らしてみたい心境になりました。
コルビジェの描いた設計コンセプト、発想、生活スタイルの考え方、綿密詳細なデティールは現在も生き続けています。完成までの過程で、建築家ル・コルビジェ 依頼主サヴォワ夫婦の打合せ時、波風が強く、要望願い予算の変更・工事の遅れ・完成後の不満・不具合・不便さに「訴える」とまで言われ、施工者と共に改善に尽くして善意を示し「私たちはあなたの家の友人と考えてください」と依頼主に手紙を送った。と記されており、大変な努力のもとに、力を尽くした建物であると感じました。
時代の流れにより、工業化都市化が進み荒廃し取壊しの危機もあったそうです。
築90年の年月には修復工事を重ね名建築として、歴史的建造物に指定保存され広く公開されるまでになり、今日の現場見学が出来た事に感謝いたします。
研修旅行に参加し、素晴らしい体験をし建築・美術・街なみをみてヨーロッパの歴史の偉大さに改めて実感致しました。
平成31年1月
株式会社 N建築設計事務所
所長 西澤 嘉雄